初対面のふり/深水遊脚
 
た。幸いまだそこそこ冷たかった。グラスに注いだロゼの色を、シャワーを終えた郁子が誉めてくれた。来た時とは大きく違って、すっかりリラックスした様子だった。

「乾杯!」

裸のままで少し可笑しかったけれど、そのままグラスを重ねた。

「ありがとう。こんなにきちんとしたクリスマスっぽい時間を過ごせるなんて、今日は期待していなかったから嬉しかった。お客さんでクリスマス祝ってくれる人は珍しくないんだけれど、ここまで手作り感のあるのはなかなかないから。」
「ううん。自分の好きなものを並べただけだから。これで駄目なときはいくらでもあるもの。郁子さんに喜んでもらえて嬉しいよ。」
「本当はお金を貰
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