初対面のふり/深水遊脚
 
した。やがてそれは絡み付くような動作になり、呼吸も荒くなった。郁子のプロフェッショナルなスイッチが入ったのがわかった。手を使った愛撫、体のこすり付け方、唇の使い方、すべて全然無駄なく性的な昂りに結び付いていた。素股でのフィニッシュを希望して、ものの数分で射精して果ててしまった。飛び散った精液をティッシュで拭き取り、そのまま最初みたいに軽く肌を合わせた。

「スパークリングワインで乾杯してみない?」
「そうしようか。」
「少しだけ体を洗わせてね。」

彼女がシャワーを浴びる間に、僕はシャンパングラスを用意して、すっかり氷の溶けたシャンパンクーラーのなかのスパークリングワインの栓を開けた。
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