カフェ・ミラージュ/AB(なかほど)
 
魚津の水族館で
イシダイの一尾が輪っかを
するりと抜ける
そのとき
古い学習図鑑の白黒ページのイラスト
を思い出した

それが
    かげろう



 蜃気楼の街 
 ひとりで歩いてるのは
 もちろん
 君を忘れるための旅であり
 そして
 もちろん
 忘れることなんてできるわけもない
 のに
 だいたい
 忘れるための旅なんて
 忘れることなんかできない 
 と
 宣言してるようなもので
 蜃気楼なんてものを 
 探しているぐらいなのだから
 なにか君への思いを
 大事に
 大事に
 オブラートにでも包むつもり
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