海の記憶とコーヒーと/深水遊脚
 
葉が
コーヒーの周りのあれこれを汚してやしないか
味が言葉を生むのが本当なのに
言葉が味を縛ってやしないか
言葉がはじめに来るなら
味を広げてやらなきゃいけない
たとえばこんな風に


  コーヒーの味の中には
  その銘柄を問わず海の記憶が含まれているように感じる
  潮の香りに似ているからだろうか(※)


海沿いに住んでいた時
潮風をたくさん吸ってベトベトになった鼻や口が感じた味は
苦かったかも知れない 酸っぱかったかも知れない
生物としては本来避けるはずの苦味や酸味を
不自然にも手間ひまかけて味わうもの といわれるコーヒー
実はそうでもないのではないか
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   グループ"コーヒー・アンソロジー"
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