野良猫あるいはルンペン(全)/……とある蛙
空の留置施設で
何の弁護もなく
何日でも勾留されよう
違法であろうと違憲であろうと
この地上に生きるに必要な術すべは一切持っていない俺は
何日でも勾留されよう
そして、地上において持てる全ての詭弁で
詩を一篇書き上げるのだ。
6
おれが歩き始めた港町
鴎が去って、鴉だけがうようよいる
古臭い歌しか唄わない詩人たちが
古臭いことこそ正しいことだと
言わんばかりにおれたちの居場所で寛いでいやがる。
横柄な態度や失語症患者のような言葉には慣れたが、
どうにもこうにもあの薄汚い形(なり)には何とかならないものかと
漁師たちは活発に水揚げ作業をこ
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