野良猫あるいはルンペン(全)/……とある蛙
をこなし、
おれたちに数匹の鰯の分け前を与え
そして、
しょぼくれた奴らには目もくれず
快活に笑いながら、
十分肥えた愛する女房たちの待つ丘の上の家に帰る。
奴らの詭弁など彼らの耳には聞こえないばかりでなく
奴らの風体など目もくれな
何の!おれにはありありと見えていた、
服従する相手がいなくても、
守ってくれる者がいなくても
いつもビクビクしていたことを
本当は食い扶持が欲しいのだ
本当は肩書きが欲しいのだ
だれそれの下っ端という
くつろげる家庭が欲しいのだ
教会の代わりに工場を、
水産加工場のまわりに巣くう鴉を
それを撃滅するための太鼓を
魚を運
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