野良猫あるいはルンペン(全)/……とある蛙
は泣きながら、黄金の夢を見たが、
一向に夢を飲み干せずにいて
夏は朝四時から体中の汗で
もがきながら目覚め、
刺すような朝陽を窓から投げ入れる
夏の朝陽を呪いながら、
安宿の金も支払わずに
何時請求が来るかとビクビクしながら、
朝食の干涸らびたパン一切れを囓り
白湯でさえない匂いのするスープを啜る。
外では漁を終えた漁師たちが
水揚げ作業を威勢良く行っているが、
相変わらず俺は声をかけられずにいる
ちゃっかりあの猫は
漁師の一人に尻尾の根元を擦り寄せ
鰯を数匹せしめている。
俺は自分の食い扶持すら自分で稼がず
自尊心だけで、居住まいを正すこともなく
ペテ
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