【批評祭参加作品】書くということについて/kaz.
こうした想像には何か得られるものがないだろうか。それは異国への憧れとも違う、どこか彼方への想いであろう。こうした望郷の念にも似た感情は何に起因するのであろうか。私たちは、それを単純な異国情緒として処理できない。少なくともそこに現されている限りのイマージュでしかない。とすればそれは「異国」ではない。単なる別世界に過ぎないのである。しかも困ったことに、多くはそれを異国じみたものと感じてしまうのだ。
これは、単なる言語的差異の問題ではない。むしろ、こうした事態を言語的なレベルに還元してしまうことは、かえって本質を見失う原因となる。言語という地平を想定しなくとも、何らかの世界が提出された瞬間に、私
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