【批評祭参加作品】書くということについて/kaz.
 
、私たちはそこに投げ込まれる運命にある。そうした運命にいくらかは抗うこともできよう、しかし一切を拒絶することはできない。ここで世界を拒絶できない理由として立ち上がってくるものが、言葉(※)である。世界をどれほど拒絶しようとも、言葉から絶えず流れ込んでくる、イマージュの防波堤は築きようがない。それというのも、私たちは生まれてから死ぬまでそうやって世界を与えられ続けているからだ。例えどれほど吐き出しても、生まれた瞬間から食べ続けた言葉をすべて吐き出してしまうことは、もうできないのだ。

できないからこそ、私たちのもつ異界への奇妙な憧れが得られる。辞書をめくれば、言葉から言葉へ、終わりない語りが続い
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   グループ"第5回批評祭参加作品"
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