【批評祭参加作品】書くということについて/kaz.
。何かが見えてこないだろうか。何かが。
直面するのはその広さだろう。言語活動のフィールドはとてつもなく広く、しかもその言葉の一つ一つが構築する奥行きまで考慮すれば、四次元空間さえ構築できる気さえしてくる。少し行けば、地平の断絶、すなわち言語的差異さえ見えてくる。断崖絶壁のあちらにはカミュやランボーがおり、こちらには三島由紀夫や川端康成がいる、そんなことさえ感じられるようになる。私は石灰岩に腰を下ろし、手元の『眼球譚』(バタイユ)を広げる。そして訳文の所々に欠けている地名、すなわち「***」の箇所が、どこにあるのだろうかと想像する――少なくとも向こうの地にあるのだろうと期待しながら。
こ
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