【批評祭参加作品】書くということについて/kaz.
近付けばその根本の樹海が見え、さらに近付けばゴミだらけの岩肌も観察できる。場所を変えれば、同じ対象も同じようには見えない。果たして何が原因なのかは知れないが、私たちは無意識に冒険するのだ。こうした事例は、読み手が完全な読み手では要られないことを示すのである。読み手とは潜在的な書き手である。
こうした考え方は、読むことと書くことの区別を曖昧にしてしまうだろう。実を言えば、こうした区別をはっきり設けないのは、案外危険な気もするのである。ただ、もう少しこの比喩に踏み止まってみよう。そして辺りを見渡してみよう。広がっている草原、所々に散らばる白亜の岩石、言語活動という自然の造形を、よく見てみよう。何
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