【批評祭参加作品】書くということについて/kaz.
 
なってきた。やがて、その答えというやつは、読み手の解釈次第、ということに変わっていくのだった。

書かれたものに対する解釈が、書くことに対する解釈とイコールでないのは、論理的な必然に近い。つまり「読む」か「書く」かというところの差異である。注意したいのは、単純な受動・能動の関係ではないということである。前者が指定するのは、読む主体であると同時に、読み取られる実体である。後者が指定するのは、もはや何物でもない。書くということについて回るのは、書かれるための空白である。こうした関係は、地平線を望遠鏡で眺めることを想像してもらうと分かりやすい。「読む」はまさに望遠鏡であり、見る主体と見られる景色をつ
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   グループ"第5回批評祭参加作品"
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