原風景7/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
つ。
会社帰りに吸ったというのに、タバコが妙にまわる。
カップ麺を食ってから一息つき、本格的に読み始める。
自然、灰皿が盛り上がり出すが気にせず進める。
正直、焦っていた。
電車で読んだあの基準法の通りだとすると、向こうに落ち度はたぶんない。
結局スゴスゴと辞めなければならない羽目になる。
いやだ。
何もせずに、何も出来ずに、辞めるのだけは、絶対に、絶対に、いやだ。
何としても、何か見つけなければ。
何か、何かないのか。
何か――。
祈るような気持ち。
ぴったりだった。
読書に慣れないので目が疲れはじめたが、そのたび、権藤の顔を思い浮かべ気を奮い立たせた。
やっと一通り目を通すと、部屋の空気はすっかり濁っていた。窓を開けた。
窓の上の時計を見ると、いつも寝る時間をとうに過ぎていた。
明日は、仕方ないかもな。
腹をくくった。
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