雨のこと/はるな
空が高い日は、鼓動がおちついている気がする。雨のふる日は、だからきもちが落ち着かないのかというと、それはそうでもなく、落ち着かないというよりは、鼓動をきれいに落としてしまっているから、からだは空き箱のように奇妙におさまっている。
雨の日はあまりでかけない。日ごろからわたしはたくさん眠るが、雨の日にはたぶん普段より多く眠る。
からだには、いつもうすぺらい膜が張っているのだが、雨の日はその膜が心持ちあつくなるから。いつもよりも深いところに(空き箱のように)わたしはおさまっている。
雨の日の深夜と、雨の日の朝もしくは昼とは、ぜんぜんちがう。晴れの日の違いよりももっとぜんぜんちがう。深夜の雨
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