喫煙のこと/はるな
 
ことはある。それでもわたしは祖父にたばこをときたまわたした。離れてくらしていたから、祖父のことは、特別好きでも嫌いでもなかった。家族よりはすこし遠いところに祖父母は位置付いていた。でも、死期のちかい祖父のそばは、なぜか過ごしやすかったようにおもう。

たばこをやめたと恋人にいったら、そう。と言い、すこし経ってから、おれはお前のたばこ吸う姿、わりかしすきだったよと言う。うまそうに吸うよなあ。と。
わたしもそう思う。たばこをやめるまでは、たばこをやめることがあるなどと、思いもよらなかったから。何事も、そういうふうにして、思いがけないタイミングで終わったり、はじまったりする。


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