膜のこと/はるな
 
まもたまに連絡をとる。いまでは彼女もすっかり背がのびて、手足のうつくしい女性になった。牛乳の膜はいまでも取り去ってから飲んでいるのだろうか。むかしから色の白い子だった。

牛乳の膜は、卵の薄皮にすこし似ている。ひらべったいたんぱく質。
わたし自身の周りには、かつてかたい殻があった。卵のような。かたくて、断固としていて、物質的な。出て行こうと思わなかったのだ。あるいは。
殻があると思い込むことそのものが重要だったのだ。実際にはなくても、あると思い込む力。強く強く思い込むこと。そういうことで自分自身に関するあらゆるものを守っていた。
いま思うと、殻の内側は、でもその外側とあまり変わらなかった
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