膜のこと/はるな
 
った。散らかっていて、無秩序で、そのくせいくつものルールがあって。混乱していた。だけどないよりある方がましだったのはたしかだ。外側と、内側を隔てる確固たるものがあるということ。
いまでは、いつの間にか殻はない。わたしは外側を支障なく歩き回ることができる。ただ時々、うすい膜のようなものを感じている。卵の薄皮のような、牛乳の膜のような。うすく、軽くて、半透明で、湿っていて。わたしそのもののような、でもそうではない。(内側と、外側を隔てる確固たるもの)。

つめたい台所に立って、鍋を火にかけながら、温めた牛乳を飲みながら、そう考えていた。あの友人にも、膜を取り去るくせのあったあの子にも、幼い頃にそ
[次のページ]
   グループ"日々のこと"
   Point(1)