特別のこと/はるな
 
つけていても、そういうのは事故みたいなもので、防ぎきれない。たとえばそのビニールテープをいまからわたしがはがしてしまったとしても、手遅れだ。特別は、防ぎきれない。

しかしながら、それが物であればまだいい。どうしようもないのは、ふとした音や、煙の行き先や、においや、温度だ。生活のなかに、どうしても存在するありふれたものが、あるときに、ある人といると特別なものになってしまう。そうして、その瞬間だけでは終わらずに、何度もわたしにそれを思い起こさせる。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、薄皮を剥くような懐かしさのなかで、いつもかなしみをひきつれている。

たぶんそ
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