結核療養所(サナトリウム)/……とある蛙
ごめんね かぁさん
僕はあなたが生きている間に
謝れなかった
あのときのことを
謝らなかった
物心ついた時
母さんは家にいたはずだったが、
母さんの記憶は
千葉のサナトリウムから。
親父の車で
松林を抜け
その先に木の病棟
病室には母さんがいて、
父親の陰に隠れた僕は
恐る恐る母さんの顔色を窺っていた、
ばぁちゃんから
えんがちょと
病気になると
言われ ただただ脅えていた。
臆病で ただひたすら臆病で
青白い顔色の母さんは
僕を見かけて明るい色となり、
満面の笑みを浮かべ
おいでおいで
おいでおいで
それでも親父の陰に隠れ
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