霧の様な死あるいはナルシシズムについて/立原道造を読む/渡邉建志
 
体験を重ねてしまうことで完成してしまうような気がする。



■優しき歌 (部分)

私は いま おまへを抱きながら
閉ぢられたおまへのうすい瞼に あの日を読むやうにおもひうかべる

眼は読むためにあるのだが、その眼が閉じられた場所(瞼)は、恋人によって逆に読まれる場所になっている。そのことの美しさ。「おまへ」の、瞼はうすく、とても美しいのだろう。



■卑怯の歌 (冒頭)

雨に濡れて立つてゐる あれは人だ
あれはかなしんでゐるが出たらめだ

かとおもうとこん
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