霧の様な死あるいはナルシシズムについて/立原道造を読む/渡邉建志
 

僕の身体の奥で羽ばたいてゐるものがゐた
或る夜 それは窓に月を目あてに
たうとう長い旅に出た……
いま羽ばたいてゐるのは
あれは あれはうそなのだよ

透明な朝の情景、というのはなんだか惹かれる主題で、この?なんかは、すごく雰囲気のある詩だと思う。なにしろ、「鷗のように眼をさます」という眼のさまし方なんて、たまりませんね。日常会話に使いたいぐらいです。「オレ、寝覚めがいいんだ。鷗のように眼をさますぜ。」とかさ。あと、?の、消えた土曜日は気になって仕方ないですね。こういう体言止で名詞を並べる作風が特徴的です。?は美しい詩ですね。彼
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