霧の様な死あるいはナルシシズムについて/立原道造を読む/渡邉建志
 
。彼の特徴である繰り返しが歌を歌っています。「花がにほつてゐるやうだ/時計がうたつてゐるやうだ」 の、時計が歌うというのに惹かれました。?の、「お聞き――」はたまらないですね。やさしく恋人に言い聞かすようなこの口調。そして最後の、「いま羽ばたいてゐるのは/あれは あれはうそなのだよ」 この文体は、ときに見かけて美しいなあ、と思うのですが、立原の時代ですでにやっているのか、と思った。この、語りかけるような文体。「あれは あれは」の間のスペースに注目しよう。二回言っている、口にしているということの強調。そして「うそなのだよ」にはドキッとします。このうそは、「鷽」なのでしょうけれど。。


■旅装
[次のページ]
   グループ"フレージストのための音楽"
   Point(13)