ある15歳の経路/小林レント讃1/渡邉建志
だから、気持ち悪いはずです。しかし、ひさしぶり、と呼びかける様に、気持ち悪いという感情のかけらも感じないのです。むしろ悲しみに対して優しい感情がある気がするのです。結局は一人の会話なので、とても寂しいのだけれど、その寂しさがなんとも言えない。
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カポーティの出世作の原題は"Other Voices, Other Rooms"(23歳の作品である)だが、誰が名付けたか、訳題は 『遠い声、遠い部屋』だ。大好きだ。遠い部屋というのがすきだ。声は聞こえているが、彼は遠く部屋の(片面だけ)透明な壁によって隔離されている。我々から彼の姿は見えるが、声は届かない
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