因数分解中毒者のために/小林レント讃2/渡邉建志
う。朗読してみると素晴らしく美しい。たぶん日本語特有の、間のみずみずしさを保っている。冒頭をみよう。
秋の日の雨
脇の溝には流れ込まずに
道に落ちた瞬間 消える
3行目の「消える」のまえのスペース。そこでの一瞬の読者への息の取らせ方。朗読者とすれば、いかにこの瞬間に雨粒を消えさせるか、というのが勝負だとおもう。ここの消える、は、ほんとうに美しい3文字だとおもう。もうひとつタイミングの取り方が難し(くも美し)いスペースがあって、
僕の頭髪に降っているのは
遠くから降ってくるのは
これは 秋の雨
[次のページ]
前 次 グループ"フレージストのための音楽"
編 削 Point(4)