生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
 
(yu)」の匂いがし始める。

『悲しみ』を
喋らないか
僕と
君と
なんだか
よく分からないものたちで

これこそまさにレント節というやつで、たまらなく好きだ。このリズムに乗る短い音節、そして「なんだか/よく分からないものたちで」。例のかわいらしくもかっこいい倒置。

詩の最後の方に、ついに詩の形が崩れるのだが、もはや詩と呼べるのかわからない世界へと跳び始めている。無調の世界に音楽が飛んだように。しかし、それにもかかわらず(そう、彼があれほどまでに維持していた「歌」(音楽)を放棄したにも関わらず)、なにか、つよいものが伝わってく
[次のページ]
   グループ"フレージストのための音楽"
   Point(3)