生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
 
しているのである。
恐るべき魔術がまた次に待っている。

 秋になると
 恋人が
 大きな家族が
 子どもたちが

ここまで読むと、普通、彼らは楽しそうに滝までピクニックに来て、滝壷の近くでお弁当でもひろげるのだろうと思うだろう。しかし、彼らは、

 そこに
 消えていった

死ぬのである。驚きである。このピクニックから自殺を繋ぐ部分は実に素晴らしい。ピクニック的な明るい要素を(+)、自殺的な暗い要素を(−)として、その明から暗への巧みな移行を見よう。

 秋になると
 恋人が(+)
 大きな家族が(+)
 子どもたちが(+)
 孤独を裸にさらした人々が(−)
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