生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
の下にできる
水の窪みは
それは
滝壷
と呼ばれていて
毎年
秋になると
恋人が
大きな家族が
子どもたちが
孤独を裸にさらした人々が
笑いながら
あるいは
笑いを噛み殺しながら
そこに
消えていった
跡形もなく
いや
高く
何処までも響き
しかし一瞬で消えてゆく
笑い声だけを
夜に残して
冒頭を見ると、
その崖は
かつて
滝
と呼ばれていた
滝
の下にできる
水の窪みは
それは
滝壷
と呼ばれていて
ここで初めて「滝」という言葉が出る。「呼ばれていた」といい、もういちど「呼ば
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