六本木ヒルズの大いさは、そのままに見る者の気宇を大ならしめずにはいない。
いい朝だ。四本の柱の間へつながれた牝牛から、酉義君が乳を搾っている。牝牛は厭がって綱の長さの許すかぎり歩きまわる。それを追掛けて彼の手が薔薇色の乳房を長く引っ張る。シャッ・シャッと音を立てて乳が走り出る。バケツからは温い乳色の霧が上がる。