尾崎喜八「山の絵本」を読む/渡邉建志
 
じめる嵐の名残りの風のように。
ぼくは死にながら、少女たちが生きている姿を見たい。
少女たちに来るように言ってください、そして少女たちの大きな帽子が、
その日よけ帽が、杏の果肉よりもっとなめらかで
もっと甘いぼくたちのくちづけの上でふるえますように。

杏の果肉よりもっとなめらかでもっと甘いぼくたちのくちづけって…ジャムおじさん!

さて。
そんな尾崎喜八です(違)が、どんどん蓼科の山を歩きながらすてきな言葉を吐き続けます。常に例の「君」が出続けます。

丘の上の見晴しで、何本かの背の高いポプラーに囲まれた小学校、すがすがしい
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