尾崎喜八「山の絵本」を読む/渡邉建志
 
る。

 そして、ああ、フーゴー・ヴォルフの歌!アイヒェンドルフの詩による、就中(なかんずく)メーリケの詩によるその歌曲集。もしもヒマラヤ探検隊の一人の持物の中に、この一冊が見出されたとしたならば、それが彼らの行動のヒロイズムにそもそもどんな床しさを加え得ただろう!

あとは、ジークフリートは山だとか、ソルヴェイグの歌も山だとか、スメタナの「ヴルタヴァ」(モルダウ)も山だとか言ってる。喜八さん、ヴルタヴァには感動したらしく、ものすごい文章を書いている。

堂々と自然を主題としたこの美しい音楽を聞いているうちに、ど
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