尾崎喜八「山の絵本」を読む/渡邉建志
 
ならない。それで私はこの子供のフランス語が、諸君に決して厭味のようにとられないことを祈る)

コントラルト、という言葉をこういう文脈で見るのもまた喜八さんならではである。その声が、モンターニュ!と言っている姿は親にとってはたまらなくかわいかったのだろう。そのあとの長い長い言い訳が僕はとても好きだ。




「山と音楽」より

さいごに、そのものずばり、尾崎喜八が山と音楽の類似・関連についてつづった散文を取り上げたい。

音楽が人に巻き起こす連想は人によって違う、スキー好きには、ベートーフェンのエロイカのスケルツォーが滑降の壮快さに思えるらしい、だが
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