尾崎喜八「山の絵本」を読む/渡邉建志
「静かに私たちを包んでしまってくれ!」 たまらん、たまらんですね。なにより、「わけても」がたまらないです。これから使っていきたい単語ですね。暗誦です。
Aよ、Bよ!わけてもCよ!
そして、「静かに私たちを包んでしまってくれ!」です。
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「山への断片」より
喜八さん、登山家たちと登山映画を観ている。すると、右のほうから声がする。
「なんだ、彼奴あ素人だぜ。地図の縁が切ってねえや!」
私はその声の主を見た。若い学生だった。ああ、私。私もまた多くの「くろうと」のように自分の地図の縁を
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