ある美しい愛の固定観念について/「智恵子抄」をとにかく読む(1)/渡邉建志
 
一言がただ置かれるのですが、これは悲しみをマリアに訴えているのかもしれないし、あるいは僕はこっちだと思うのですが、智恵子をサンタマリアと同一視しているのかもしれません。とにかく恋とはちがひますちがひますと一生懸命に否定です。何がどうなのかわからないけどあなたが嫁に行くのはいやなんだ!と言いますそして最後の一行がふるっています。

おまけにお嫁にゆくなんて
よその男のこころのままになるなんて

結局よその男だからいやなんであって、どうせなら僕のところに来てくれればいいのに、と言う本音が見えちゃうわけですね。だけど、これは恋ではなく崇拝なんだから
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