ある美しい愛の固定観念について/「智恵子抄」をとにかく読む(1)/渡邉建志
 
為し
進むべき道を進み
自然の掟を尊んで
行住坐臥(ぎやうぢゆうざぐわ)我等の思ふ所と自然の定律と相もとらない境地に到らなければならない

ここにも激しく光太郎VS世間、「天然」「自然」VS「卑怯」「矮人」の構造です。口を極めてののしっているようすが面白いです。なにしろ矮人ですぜ!「彼らの閑な時間をつぶそうとする」!なんというか、すごいですね。「グレート・ギャツビー」冒頭のveteran bores(筋金入りの退屈人)というのを思い出します。そいつらにたいして、我等はあくまで自然の掟を尊ぶのです。ちょっとした選民思想を感じます。だが、それがいい。自然の「定
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