ある美しい愛の固定観念について/「智恵子抄」をとにかく読む(1)/渡邉建志
きつた水の中へ
そんなあぶないものを投げ込んではいけない
出せば則ち雷火である、を見ましょう。「則ち」、という言葉の後は短くおさえたいものです。たしかに短くて「雷火である」と短く切ります。そして、つぎに「然るに」どうなのか、と問いたくなるわけですが、然るに、「あなたは女だ」とここも短く言い切ってしまいます。かっこいいです。ここから語尾の「だ」が連続します。その言い切り加減が最高です。「女だ」「女だ」「月だ」「月だ」。さらにくりかえし「それでいい、それでいい」こんどは頭韻の「そ」に注目して、「その夢」「その上」「そんなあぶないものを」と来ます。同時に、例の「いけない
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