臨界/伊月りさ
胃袋をふるわせて
吐き出した
現実は
見事にきみの同情を誘って
ううう、ううう、
うなる
わたしに蔓延する味方を
蹴散らせない
縋れない
泣かないで、なんて簡単に言うからだ
きみは
なにもできないのに
なにかしたい、と
きみが泣いて
わたしはもう疲れてしまったから
もう
星になりたい
星になることをゆるして
くれないのなら
絡むその指をゆっくりとちぎって
ううう、ううう、
仕方がない
苦痛のない旅立ちなどないのだ
分厚いカーテンを破る
空に転がっている
わたし
転がる
第二関節
夜を呼ぶ大声に
この喉は限界で
わたしは星になるしかなくて
笑って
いる
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