愛は天下の回り物/木屋 亞万
 
春過ぎて夏が来たらしい照り返す薄着に肩が香る具合に


雨の朝、彼女と夜が脱皮してベッドに落ちた抜け殻2つ


服を脱ぐだけでは足りず皮膚を脱ぎ自己を脱いでも僕ら玉葱


生花持ち短歌ランナー駆け抜けるヘリクリサムを彼女の窓へ


干からびた海藻だらけの砂浜で貝を拾って恋をなくした


ケンカして弁当頬張る昼休みフタを開けると雪国でした


腐るのは生きてるからだ繊細に水を蓄え生きてるからだ


雨が降り肺まで曇る夕方に燃える雲、傘、君、懐かしむ


夢は着たままでいてよと言いながら、売られていったあなたの着物


「しなければならない」でなく心から「したい」と言えよ、好きなことなら


旅に出よう、目的地などないのだからのんびり歩く旅に出ようよ



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