■千羽鶴/千波 一也
ど、
おまえの不器用さを包めていただろうか、と
わたしはいつも千羽鶴を見て
思う
どこかで達者に幸せに
暮らしているだろうか、と
ときどき思う
わたしはいま、
疑いようもなく幸せだけれど
母の、悪気のないぬくもりに触れるたび
すこしだけ
痛む
優しさとは
教えられるもの
覚えようとして覚えられるものでも
身につけようとして
身につけられるものでも
ない
悪気のひとつも無い、
おまえの不器用な千羽鶴が
今年も実家で待っている。
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