俺と鳥/緑茶塵
兄の家の正門にたどり着いた。何故か人気が無い。
兄は夜逃げしていた。
今度はあの坂をじりじりと下っていく。坂の下りは楽だと言う奴がいるが、俺はそうは思わない。坂は上りも下りも嫌なものだ。
帰りのバス停をとりあえず二つ先で降りた。あの老人を探すためだ。しかし降りた後でどうしたものかと思った。とりあえずバス停に腰掛て、タバコを一本吸う。段々と嫌になってきた。このまま鳥を置いていっても、誰にも責められる筋合いはないような気がする。そうしてしまおうか?
ひょっこりとあの老人がやってくるのをどれ位待つつもりなのか?
それとも気合を入れて引き取り手を捜すか?
タバコを吸い終わる。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)