俺と鳥/緑茶塵
携帯電話を取り出して兄の家に電話する。もうバス停まで来ていると言えば追い返されたりはしないだろう。我ながらせせこましいと思うが鳥を飼い続ける自信がない以上、鳥にとっても早めに元の家に戻った方が良いだろうと思う。
しかし電話が中々繋がらない。
出てくる時に電話してくればよかったかと思いながら、しかたなく鳥かごを持って歩き始める。兄の家はバス停から近いがやたらと長い坂がある。だから出来れば車で迎えに来て欲しかったのだが、電話に出ないのだからしょうがない。
だらだらと陰鬱な気分で坂を上り続ける。休日の昼間の住宅街。しかも曇り。
タバコも吸えない。手には鳥。これはひとつの最悪である。
兄の
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