限りなく愛は自由を奪う/ネコ助
 
る。
そして
『愚かな父親、父親失格』
そんな言葉を口ごもる。

恐ろしいニュースを聴く。
私はその父親よりも、
罪人である同類項の自分が
心の中に潜む現実に
恐ろしくなるのだ。

そんな時
子供が病気をした。
額には玉の汗を噴き、
あの賑やかな唇は
物言わぬ熱い唇となった。

それから
朝霧の街路を、
深夜の寂しい街灯の下を、
この子を抱きしめながら、
思わず唇を押し充てながら何度走ったろう。
胸の中の小さな子供の苦しみに、
哀れみと祈りの涙がこぼれた。

『愚かな父親、仕事がなんだ、自由がなんだ、
 自分がなに様だ、私の命を引き替えにしてもい
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