白猫とお婆さん。/もののあはれ
ない僕は。
自然にそんな風に感じました。
後々、東京でも紐に繋ぐのは珍しいと知るのですが。
『お前紐に繋がれて窮屈じゃないのかい?』
僕がそう問いかけると。
白猫は返事も無く立ち上がり。
お店の中にスルリと入って行きました。
なんとなく白猫に釣られてしまった僕は。
一緒にお店の中に入って行きました。
『ごめんくださーい。』
『すいませーん。』
人気の無い店内で声をかけると。
「はい、はーい。」
と。店の奥から声が返ってきて。
恐らくは80近くであろうお婆さんが。
ゆっくりゆっくりと中から出てきました。
「い
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