白猫とお婆さん。/もののあはれ
 
ない僕は。
 自然にそんな風に感じました。
 後々、東京でも紐に繋ぐのは珍しいと知るのですが。

 『お前紐に繋がれて窮屈じゃないのかい?』

 僕がそう問いかけると。
 白猫は返事も無く立ち上がり。
 お店の中にスルリと入って行きました。
 なんとなく白猫に釣られてしまった僕は。
 一緒にお店の中に入って行きました。

 『ごめんくださーい。』
 『すいませーん。』

 人気の無い店内で声をかけると。

 「はい、はーい。」

 と。店の奥から声が返ってきて。
 恐らくは80近くであろうお婆さんが。
 ゆっくりゆっくりと中から出てきました。

 「い
[次のページ]
戻る   Point(11)