白猫とお婆さん。/もののあはれ
自販機でもいいかあとそちらに近づくと。
白猫はフワリと立ち上がり。
僕のほうに近寄って来ました。
もともと猫が好きな僕は。
嬉しくなって指先を鼻に持っていくと。
猫特有の習性なのか。
クンクンと匂いをかんで身を寄せてきました。
その白く綺麗な毛並みの丸い背中を優しく撫でてやると。
白猫は目を閉じて為すがままに身を預けてきました。
ふと気づきましたが。
この猫は首に紐が繋がれていました。
『へえ。』
『なんだか珍しいなあ。』
東京じゃあ猫も犬みたいに紐に繋いで飼うのかなあと。
車多いから危ないもんなあと。
東京デビュー間もない
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)