白猫とお婆さん。/もののあはれ
 
 自販機でもいいかあとそちらに近づくと。
 白猫はフワリと立ち上がり。
 僕のほうに近寄って来ました。
 もともと猫が好きな僕は。
 嬉しくなって指先を鼻に持っていくと。
 猫特有の習性なのか。
 クンクンと匂いをかんで身を寄せてきました。
 その白く綺麗な毛並みの丸い背中を優しく撫でてやると。
 白猫は目を閉じて為すがままに身を預けてきました。

 ふと気づきましたが。
 この猫は首に紐が繋がれていました。

 『へえ。』
 『なんだか珍しいなあ。』

 東京じゃあ猫も犬みたいに紐に繋いで飼うのかなあと。
 車多いから危ないもんなあと。
 東京デビュー間もない
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