白い手 /服部 剛
( ピエロは独りよたついて
( 歪(ゆが)んだ後ろ姿で
( 深夜のネオン街を横切ってゆく
早朝 夢から覚めると
そこはネットカフェの個室だった
昨晩は酔いどれたまま
揺れる地面を歩いていたらしい
延長料金を精算し
扉が開いたエレベーターに乗る
鏡に映る 寝ぐせのはねた 寝惚(ねぼけ)け面(づら)
( 微かな記憶に甦るのは
( 昨夜の飲み屋で
( 酔っ払った僕の赤い耳にふれた
( 君の白い手
*
一月(ひとつき)前
スポットライトに照らされた舞台に
凛と立つ君は
「
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