ピラニア/「Y」
 
になったのは、六年生になって受講した夏期講習でだった。僕と隣り合わせの席に座っていた明は、僕とは異なり算数と理科の成績が抜群に良かった。明は普段は僕よりレベルが一つ上のクラスに在籍している生徒だった。休み時間中、僕と明は言葉を交わすようになった。僕は明が隣町の小学校に通っており、明の家が、僕がピラニアを買った熱帯魚店のすぐ近くにあるということを、ほどなくして知った。明の父親は歯科医を開業していた。やがて僕と明は、互いの家を行き来するようになった。
 はじめて明の家に行ったのは、夏休みの終わる最後の日だった。その日はちょうど日曜日で、正午を過ぎた頃に、一緒に勉強をしようという明からの誘いを受けた僕
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