ピラニア/「Y」
平気で生きていくしぶとさも備えている、ということなどだ。そして、水槽の大きさや温度調節のための機械など、ピラニアを飼育するために必要な装置類とその値段を書き込んだ紙を、僕に渡してくれた。
〈毎日あの店にピラニアを眺めに行くよりは、ピラニアの入った水槽を、自分の部屋に置いて眺めていたほうが、良いに決まっている。それに、あのピラニアが売れてしまったら、もう眺めに行くこともできなくなる。ということは、やっぱり買うしかないな〉
帰り道で自転車を漕ぎながら、僕はそんなことを考えていた。ついさっきあの店に入るまでは、ただ単にピラニアを見たいという気持ちしかなかったのに、一時間後の今はもう、ピラニアを飼う
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