ピラニア/「Y」
外のものは、かえって邪魔なんだ。存在感のある魚というのは、良かれ悪しかれ、それを見る人を圧倒するものだけど、そういう魚は、えてして人々から敬遠されがちなところがある。眺めていて心が癒されるのではなく、眺めていて疲れちゃうところがあるからね」
店員は俄かに饒舌になった。
「ふうん。分かるような、分からないような話だなあ」
と、ぼくは正直に言った。
金髪の店員は、その後もピラニアについての話をいろいろと聞かせてくれた。肉食性で、食べることに対しては貪婪だが、同時に、神経質で臆病な性質の持ち主でもある、ということや、丈夫な身体を持っていて、他の魚なら棲めないような汚れた水の中でも、平気
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