ピラニア/「Y」
、大群で牛を襲ったりすることがあるとか、そういうことですか? 」
僕の言葉に、店員はすこし驚いたような顔をしながら言った。
「なんだ、なかなか知ってるじゃないか。ピラニアのことを」
「うん、まあそれくらいはね」
得意な気持ちを抑えながら僕は答えた。
「それに、こういうこともある」
店員は話を続けた。
「ピラニアの持っている存在感の大きさが、それを見た人の心の中に、この魚を飼ってみたいなという気持ちが起こるのを邪魔してしまうところがあるんだ」
「存在感ですか」
「大半のお客さんにとっては、自分の飼う熱帯魚は、可愛いくて、眺めていて心が癒されればそれでいい、というか、それ以外の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)