小詩集【ルナ区の片隅で少年少女は】/千波 一也
塔は
もしかしたら
ひとと寄り添って
きょうもなお静かに
立っている
二、無数の星
いま願いを託した
あの星には
誰かが立っていたのだろう
いま
音もなく消えた星には
ひとつの願いも
無かっただろうか
流れ
過ぎてゆく
景色のなかで
わたしたちは互いに
無数の星
乾きをうるおす水には
幾つの声が透けるだろう
暖をとるための炎には
幾つの声が揺れるだろう
見渡せない夜は果てしなく
わたしたちは
淡い夢のなかで
塵のように夜を浮かぶ
閉じこめて
閉じこめられて
彩りのかさなりは
闇夜に
黒く
果てしなく
わたし
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