小詩集【ルナ区の片隅で少年少女は】/千波 一也
たしたちは互いに
無数の星となる
痛みも恨みも涙も怒りも
まばたきのまに
無数をゆく
無数のかがやきは
互いに
互いの流れ星
たとえば
わたしのこのうたも
見渡せない夜は
果てしなく
黒い
三、ふゆの巣
あなたの肩に
ふゆはある
それを
みとめるだけで
あなたは
急いでしまうから
ふゆはなお
息づく
雪原の片隅が
孤独の
いどころ
おおきくなるには
時間がかかる
春をのぞみ
春をうたうころ
雪原は
ゆっくりと
ちいさくなる
つまり
いどころはうつる
春は
わすれてしまう季節
春はおそろしい
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